パーキンソン病は、主に中高年期に発症する進行性の神経変性疾患です。稀に40歳未満で発症する若年性パーキンソン病もあります。主な症状は「手足の震え」「筋肉のこわばり」「動作の緩慢」「歩行の困難」などの運動症状に加え、自律神経障害や睡眠障害などの非運動症状もみられます。症状は進行しますが、現在は有効な治療薬も多く、早期診断・治療によって以前よりも生活の質を保つことができるようになってきました。

パーキンソン病
パーキンソン病
パーキンソン病は、主に中高年期に発症する進行性の神経変性疾患です。稀に40歳未満で発症する若年性パーキンソン病もあります。主な症状は「手足の震え」「筋肉のこわばり」「動作の緩慢」「歩行の困難」などの運動症状に加え、自律神経障害や睡眠障害などの非運動症状もみられます。症状は進行しますが、現在は有効な治療薬も多く、早期診断・治療によって以前よりも生活の質を保つことができるようになってきました。
パーキンソン病は厚生労働省の指定難病に認定されており、一定の条件を満たす場合には医療費助成制度の対象となります。
脳にあるドパミンに関わる神経細胞が減少すると、脳内のドパミンの分泌が不足し、運動の調節がうまくいかなくなります。これにより、様々な運動障害が現れます。
運動症状
動作緩慢:動作開始に時間がかかり、全体的に遅くなります。小刻み歩行や表情の乏しさ(仮面様顔貌)、声が小さくなる、小字症などがみられます。
振戦(ふるえ)
手足などが、安静時に震えるのが特徴です。
筋強剛
筋肉のこわばりにより動きがぎこちなくなります。
歩行障害
歩幅が狭く、すり足になるほか、「すくみ足」や「加速歩行」などもみられます。方向転換や狭い場所で転倒しやすくなります。
自律神経障害
便秘、頻尿、起立性低血圧など。
精神・認知症状
抑うつ、不安、意欲低下、幻視など。
嗅覚障害
初期から見られますが、自覚されにくい傾向があります。
睡眠障害
レム睡眠行動障害(寝言や手足の動き)など。
診断は、症状の経過や神経所見に基づく問診と神経診察が基本です。頭部CTや頭部MRIでは異常がみられないことが多いため、他疾患の除外目的で行われます。補助検査として、ドパミントランスポーターシンチグラフィやMIBG心筋シンチグラフィが活用され、パーキンソン病診断の一助にしています。また、治療薬の効果を診断の手がかりとすることもあります。
治療の基本は、脳内で不足しているドパミンを薬で補う薬物療法です。多様な薬剤(内服薬、貼付薬)があり、症状に応じて使い分けます。非運動症状に対する治療もあわせて行います。またリハビリテーション(リハビリ)も重要です。運動機能の維持・向上のため、早期からのリハビリが重要です。ストレッチやバランス運動、歩行練習などを通じて、筋力と可動域を保ちます。継続的な取り組みが大切です。
パーキンソン病は、長い年月をかけて徐々に進行する病気ですが、適切な治療とサポートにより、生活の質を保ちながら過ごすことを目指せるようになってきました。早期からの診断・治療、そして患者様一人ひとりに合った継続的なケアが何よりも大切です。気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
主に中高年の方に多くみられますが、40歳未満で発症する「若年性パーキンソン病」もあります。
多くの場合、遺伝性ではありません。一部のパーキンソン病では遺伝的要因が関与することがあります。
残念ながら完治は困難です。しかし治療によって症状を軽減・安定させ、生活の質を保つことが可能と考えます。生活でどのようなことに困っているかを伺いながら、薬剤の調整を行います。
片側の手や足のふるえ、動作の緩慢さ、歩行の変化などが初期に多く見られます。
そうとは限りません。ふるえが目立たないタイプもあります。動作の緩慢さや筋肉のこわばりなど他の症状で始まることもあります。
はい、パーキンソン病の可能性はあると考えられます。「小声」も特徴的な症状のひとつです。また笑顔が見られなくなる症状を「仮面用顔貌」といい、こちらも特徴的な症状の一つです。
「すくみ足」と呼ばれる症状です。方向転換や狭い場所で出やすく、転倒の原因にもなります。
脳血管性パーキンソニズムや進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)などとの鑑別が必要です。これらの疾患との鑑別は初診時には難しいこともあり、当院では脳神経内科の専門医が慎重に経過をみて、診断をさせていただきます。
足りなくなったドパミンを補うL-dopaというタイプのお薬を使用します。またL-dopaに加え、ドパミン受容体作動薬、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬など、各種補助薬を症状に応じて使い分けていきます。
非常に重要です。運動機能の維持・改善のため、ストレッチ、バランス訓練、歩行練習などを継続的に行うことが勧められます。
転倒防止のため段差を減らす、手すりをつける、滑りやすいマットを使わないなどの工夫が重要です。また内的キューや外的キューというものを適宜用いながら、少しでも自宅での生活を改善できるように試みます。
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